薬品知識

バルトレックスと口唇ヘルペス|飲み方や有効性、疾患について解説

口唇ヘルペスとバルトレックス

バルトレックスを使った口唇ヘルペスの治療

用法用量
1回の用量500mg錠の場合 … 1錠
1000mg錠の場合 … 1/2錠
(バラシクロビルとして500mg)
1日の服用回数2回
服用期間5日間

口唇ヘルペスの治療におけるバルトレックスの服用期間は5日間です。5日間の治療を行った時点で、症状に改善が見られない場合や、悪化している場合にはバルトレックスとは別の治療法への変更が必要になります。

バルトレックスの服用は、できるだけ早く行うことが大切です。ウイルスの増殖を抑える薬ですので、早期の服用によってウイルスの数が最小限に留められるためです。口唇ヘルペスの再発を繰り返している方は、発症の前兆である患部のチクチク感を感じた時点でバルトレックスを飲み始めましょう。

口唇ヘルペスの塗り薬よりも強い効果が期待できます。

口唇ヘルペスの治療薬には塗り薬タイプもありますが、抗ウイルス効果はバルトレックスに及びません。皮下の神経に潜むウイルスに作用するバルトレックスに対して、塗り薬が作用するのは皮膚の表面に限られます。塗り薬に期待できる効果は、病変部の周辺にウイルスが拡散するのを防ぐことです。口唇ヘルペスの発症前から働きかけるバルトレックスに比べると、病気を最小限に抑える効果に劣ります。

塗り薬は市販されていますが、使用できるのは再発性の口唇ヘルペスに限られます。重症化しやすい初感染時の口唇ヘルペスに対しては、バルトレックスのような内服型の抗ウイルス薬が必要です。

臨床成績では95.9%の有効率が認められています。

口唇ヘルペスに対するバルトレックスの有効性について、その目安となる臨床成績がインタビューフォームに記載されていました。

口唇・顔面ヘルペス及びカポジ水痘様発疹症を対象とした国内二重盲検比較試験における有効率は95.9%であった。

引用:バルトレックス500 インタビューフォームより

カポジ水痘様発疹症とは、アトピーなどの皮膚疾患のある人がヘルペスウイルスに感染した場合に生じる疾患です。通常の口唇ヘルペスよりも症状が重くなる傾向があります。つまり、重症例も含めた口唇ヘルペスに対して、バルトレックスには9割以上の患者に有効な治療効果が認められていることになります。

とはいえ臨床試験では専門の医療従事者によるバルトレックスの投与が行われます。臨床成績で示された効果を得るためには、バルトレックスの服用を適切に行うことが大切です。バルトレックスの飲み方について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

バルトレックスの飲み方を添付文書から優しく解説|服用日数や食前・食後など

口唇ヘルペスとは

主な症状は口元にできる水ぶくれやブツブツです。

口唇ヘルペスの症状は以下の段階を経て進行していきます。

  1. 患部にピリピリ、ムズムズとした違和感を感じる
  2. 患部が赤く腫れてくる
  3. 2~3日後に水泡(水ぶくれ)になる
  4. かさぶたになって治る

これらの症状が口元の一ヶ所に集中して発症するのが口唇ヘルペスの特徴です。初感染のときには病状が重くなってしまう傾向があり、病変部が広範囲に及ぶこともあります。発熱やリンパの腫れなどの全身症状を伴うことも少なくありません。

一方で再発性の口唇ヘルペスでは、軽度な症状に留まることがほとんどです。実際に皮膚表面にでてくる軽いものの場合には、早い人では1週間から2週間程度で改善できます。バルトレックスなどの抗ウイルス薬を用いなかったとしても、自然治癒します。

状態が治まると、患部にはかさぶたが生じることになりますので、それが回復すれば綺麗な肌が露出します。その部分にウイルスが残存している可能性があるため気をつけなくてはいけません。特に、チクチクと痛みが残っているときには要注意です。

皮膚の水泡については痕が残りやすいので、痒かったりチクチクするからといって触ってしまうと肌にダメージが残ってしまう可能性もあります。再発リスクがあるものなので、無理に触らないようにして安静にすることが大切です。

原因は単純ヘルペスウイルスです。

口唇ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルスという病原体によるものです。潜伏期間は3日から7日程度ですが、感染力が非常に強いウイルスであるため一度移るとずっと体内の中に潜んでいるという特徴が存在します。

感染経路は他人との接触もしくは自分自身です。

感染経路も幅広く、この病原体を保菌している人が利用した日常品を使うことなどによって、他の人に感染する可能性があります。
例えば、家族の中で病原体を有している人がタオルなどを利用すると、そのタオルを媒介として子供に対しても移る可能性が十分に存在します。実際に、他人との接触によって発症する可能性がかなり高く、同種の病原体によって発症する性器ヘルペスについてはパートナーとの接触によって発症する典型的な病気です。

病気が発症したときは病状がでた患部に生息している可能性もありますので、その部分に触った手で他の場所に触れたりすると、それだけで被害が拡大する可能性も高くなります。

免疫力の低下をきっかけに再発します。

口唇ヘルペスは、およそ年1~2回ほどの頻度で再発を繰り返します。

再発の主な原因は、宿主となる人間の免疫力の低下です。普段は三叉神経という神経の太い部分に生息していて何もしないのですが、免疫力が低下するとウイルスの活動が活発化して、水ぶくれの症状が顔の表面あるいは唇の周辺にでてきます。

免疫力が低下するきっかけとしては、風邪や疲労、ストレス、外傷、紫外線への暴露、ステロイド等の免疫抑制剤の使用などが挙げられます。これら再発の誘因を避ける生活を心がけることが、口唇ヘルペスの再発予防には重要です。

他人にうつさないためにも早期治療が大切です。

口唇ヘルペスが発症したときには、なるべく早く治療することが重要です。これは、他の人に感染させてしまう可能性が高くなるからです。

口唇ヘルペスそのものは放っておいても自然治癒しますが、パートナーが存在する場合には性行為によって性器ヘルペスを感染させてしまう可能性が高くなります。しかも、性器ヘルペスの症状は口唇ヘルペスと断って症状が重くなる可能性が高いため、症状がでた段階で医薬品などを用いて治療するのが賢明です。

患部にむやみに触れないようにすることも大切です。そもそも、体内に潜んでいるウイルスは三叉神経から顔の表面に向かってでてくることになりますので、症状がでている場合にはそれだけその部分のウイルスが活性化していることを意味します。ですから、その部分に触れてしまうとウイルスが付着してしまう可能性が高くなります。

再発などが酷かったり症状が重くなるようなことがある場合には、医師に相談をして治療を行っていく必要もあります。口唇ヘルペスに関しては、医師に相談することで単純ヘルペスウイルスに効果的な抗ウイルス薬を処方してもらえます。保険の適用もありますので、安い費用で対策が可能です。