薬品知識

バルトレックスの副作用を添付文書から優しく解説|主な症状は頭痛や眠気など

バルトレックスの副作用

日本で承認されている「バルトレックス錠500」の添付文書や、その他公的な医療文献の記述を噛み砕いて、バルトレックスの副作用に関する疑問を分かりやすく解説しています。

主にどんな副作用が出るのか?

バルトレックスの主な副作用は以下の通りです。

主な副作用として、頭痛、眠気などの意識低下、傾眠、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、腹部不快感、蕁麻疹、発疹、かゆみ、光線過敏症などが報告されています。

引用:バルトレックス錠500 くすりのしおりより

頭痛や眠気などの精神や神経に関わる症状、腹痛や吐き気などの消化器に関わる症状、発疹やかゆみなどの皮膚に出る症状など、バルトレックスの副作用としては幅広い症状に注意が必要となります。

気を付けなくてはならないのが、副作用と思わしき不調が、実際には疾病による症状である可能性も考えられる点です。バルトレックスが使用されるヘルペスや帯状疱疹では、自覚症状として頭痛や倦怠感、かゆみ、発疹などが出ることがあります。症状の一部分が副作用と重複しているため、身体に起きている不調の原因が、薬なのか疾病なのかを見極めることが困難な状況が起こり得ます。

迷った場合には、すぐに医師に相談してください。自己判断でバルトレックスの服用を中止してしまうと、かえって不調が酷くなるおそれもあります。

眠気やめまいに伴う事故に注意しましょう。

バルトレックスの添付文書では「重要な基本的注意」の項目において、自動車の運転に関する注意が記載されています。

意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意する

引用:バルトレックス錠500 添付文書より

バルトレックスの服用期間中には、長距離の運転などは避けた方が良いかもしれません。

自動車の運転等がどうしても避けられない場合には、服薬のタイミングを工夫しましょう。バルトレックスの副作用が発現しやすいと思われるのは、有効成分バラシクロビルの血中濃度が高くなったときです。バラシクロビルの血中濃度は服用から2時間でピークに達して、3~4時間後には半減します。 血中濃度が低くなっている時間であれば、危険なリスクを多少なりとも抑えられるかもしれません。

バルトレックスは副作用が出やすいのか?

バルトレックスの副作用はどれくらいの確率で副作用が発現するのか?に関しては、副作用の発現率を検証する臨床試験が実施されています。

単純疱疹を対象とした臨床試験において、総症例397例中、64例(16.1%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されている。

引用:バルトレックス500 添付文書より

臨床試験で示された副作用の発現率は、16.1%でした。つまり、100人がバルトレックスを服用した場合、その内およそ16人に何らかの副作用が発現することになります。

ただし上記した副作用発現例の中には、自覚症状を伴わない検査値異常も多く含まれています。いずれにせよ好ましい現象ではありませんが、16人全員に副作用として体調不良が現れるわけではありません。

症状別の副作用の発現率について。

以下の表は、バルトレックスのインタビューフォームに記載されていた臨床試験(単純疱疹患者397例が対象)で確認された副作用を、発現発現例数が多かった症状の順に並べたものです。

症状発現件数発現率
頭痛11例2.77%
傾眠9例2.27%
悪心5例1.26%
尿中白血球陽性5例 1.26%
下痢4例0.94%

最も多く確認された副作用が頭痛の11例です。全体の3%未満であることから、決して副作用の発現率が高いわけではないように感じられます。

命に関わる重い副作用はあるか?

バルトレックスでは重大な副作用も確認されています。以下の表は、添付文書に記載されていた重大な副作用を発現率ごとに分けたものです。いずれも極めて低頻度となります。

発症頻度重い副作用
0.1%以上精神神経症状(0.24%)
汎血球減少(0.13%)
0.1%以下血小板減少(0.05%)
肝機能障害(0.05%)
無顆粒球症(0.03%)
急性腎障害(0.02%)
頻度不明アナフィラキシーショック、アナフィラキシー
播種性血管内凝固症候群(DIC)
血小板減少性紫斑病
尿細管間質性腎炎
中毒性表皮壊死融解症
皮膚粘膜眼症候群
呼吸抑制、無呼吸
間質性肺炎
肝炎
黄疸
急性膵炎

最も多く確認されたのが、精神神経症状です。ここで挙げられている精神神経症状とは、昏睡や幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症などの重い症状のみです。眠気などの軽度の症状は含まれません。

次に汎血球減少や血小板減少、無顆粒球症などの血液障害が比較的に多く確認されています。これらの血液障害を発症すると、動機や息切れ、倦怠感、耳鳴り、出血が止まりにくいなどの症状が見られることがあります。

その他、急性腎不全では、尿が出にくい、尿が濁る、血尿、のどの渇きなどの自覚症状が見られます。
肝機能障害では、だるい、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が茶色っぽくなるなどの自覚症状が見られます。

頻度不明とされているものは、臨床試験では確認されなかったが自発的な報告があった症状や、海外でのみ報告された症状が含まれます。

副作用が出やすいのはどんな人?

バルトレックスの副作用を起こしやすいのは、脱水症状になりやすい人です。水分不足になると、血中におけるバルトレックスの濃度が高くなります。バルトレックスが濃くなり過ぎると、副作用の発現リスクが上がります。

添付文書では、脱水症状になりやすいという理由から、腎臓の病気がある患者や高齢者には慎重な投与を行うべきとの記述があります。いずれにおいても「精神神経症状等があらわれやすい」とされています。

副作用を予防するには?

バルトレックスの副作用を予防する上で大切なのは、こまめな水分補給です。脱水がおきやすい腎機能障害の患者や高齢者で副作用のリスクが高まることは上述しましたが、慎重投与の対象に該当しない方でも脱水症状になれば同じリスクがあります。
下痢や嘔吐をしてしまった時や、夏場など脱水になりやすい環境にある方は、注意して水分補給をおこないましょう。

またバルトレックスを正しい用法用量で使うことも非常に大切です。バルトレックスの飲み方について詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてください。

バルトレックスの飲み方を添付文書から優しく解説|服用日数や食前・食後など