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バルトレックスを使った帯状疱疹の治療
用法用量 | |
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1回の用量 | 500mg錠の場合 … 2錠 1000mg錠の場合 … 1錠 (バラシクロビルとして1000mg) |
1日の服用回数 | 3回 |
服用する期間 | 7日間 |
帯状疱疹におけるバルトレックスの服用期間は7日間です。7日間服用しても症状が改善しない場合には、異なる治療法への変更が必要となります。
早期の服用が重要であり、発疹などの病変が現れてから5日以内にバルトレックスで治療を始めることが望ましいとされています。
治癒までに要する期間は3週間ほどです。バルトレックスを使用することで、発疹の治癒の促進や痛みの緩和、痛みが続く期間の短縮などの効果が得られます。効き目が現れるまでには、服用から2~3日ほどかかります。帯状疱疹の治療では、バルトレックスのような抗ウイルス薬と共に鎮痛剤などが併用されます。 バルトレックスの飲み方について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
バルトレックスの飲み方を添付文書から優しく解説|服用日数や食前・食後など
臨床成績では89.1%の有効率が認められています。
帯状疱疹に対するバルトレックスの有効性については、臨床成績が添付文書に記載されています。
用量設定試験における有効率(1回1000mg、1日3回投与群)は89.1%(49/55)
引用:バルトレックス500 添付文書より
用量設定試験とは、帯状疱疹に投与するバルトレックスの用量を定める臨床試験です。
1回1000mg、1日3回の用量でバルトレックスを用いた結果、55例中、49例の患者に有効な治療効果が確認されて89.1%の有効率が示されました。バルトレックスを使用した帯状疱疹患者の9割に有効な治療効果が見られていることが分かります。
痛みが完全に消えるまでの期間は1ヶ月ほどです。
バルトレックスの添付文書には、帯状疱疹による痛みが消えるまでの日数が検証された特定使用成績調査の記載もありました。
疼痛消失までの日数(中央値)は35日であり、PHN(帯状疱疹後神経痛、Post Herpetic Neuralgia)移行率(皮疹発現90日後の疼痛残存率)は24.7%(78/316例)であった。
引用:バルトレックス500 添付文書より
上記の調査で対象となったのは成人帯状疱疹患者316例です。
調査で示された疼痛消失までの日数(35日)はあくまで中央値ではありますが、バルトレックスを服用してから痛みが消えるまでの期間について、およそ1ヶ月間がひとつの目安であるといえます。
また患者全体の24.7%が、90日以上痛みが持続する後遺症の状態に移行してしまったことが記されています。バルトレックスを用いても、帯状疱疹の後遺症を完全に防ぎきることは難しいことが分かります。
帯状疱疹とは
症状は主に上半身に生じる帯状の発疹です。
帯状疱疹は、身体の左右のどちらか一方にピリピリと刺すような痛みとそれに続いて赤い斑点状の小さな水ぶくれが帯状に現れる病気のことです。その多くは、はじめに皮膚に神経痛が走りますが、その感じ方はピリピリする・ズキズキする・チクチクするなど様々です。人によっては、皮膚の違和感を感じる人やかゆみ、しびれを感じるなどの場合もあるそうです。
その後、水ぶくれを伴う赤い発疹が徐々に痛みが強くなります。帯状疱疹は、骨髄の神経節に潜んでいたウイルスが暴れ出すため、神経の流れに沿って症状が現れることが大きな特徴です。特に上半身に多く見られ、症状が現れる部位は腕や胸、背中、顔や首などに現れてしまうこともあります。
発症してしまうと、強く痛んで体が動かせなくなり、家事や仕事に集中できなくなってしまいます。また、夜眠ることができないほど痛むことや、顔や首の人に見られてしまう場所に発疹ができてしまい気になって外出が億劫になってしまうなど、日常生活に大きな支障がでてしまうこともあります。
水ぶくれなどの症状は、3〜4週間ほど続きます。治療を行わなくても自然に完治する場合もありますが、治療を行わずに放置してしまうと頭痛や発熱などが現れることもあります。重症化してしまうと、失明や顔面麻痺、難聴などを引き起こしてしまったり、発疹が消えても痛みだけが残ってしまう後遺症が残ることもあるので、発症したらできるだけ早い段階で医療機関を受診して治療を受けましょう。
原因は免疫力の低下による水痘ウイルスの再活性化です。
帯状疱疹の原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」への感染および再活性化です。 初めて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したときは、水ぼうそうの症状が発症します。水ぼうそうの症状が治っても、水痘・帯状疱疹ウイルスは、体内の脊髄からでる神経節に潜んでいるいわゆる潜伏感染という状態になります。
普段、身体が健康を保っている状態では身体の免疫力によって活動が抑えられているので、帯状疱疹の症状が発症することはありません。しかし、加齢や疲れ、ストレスによって身体の免疫力が低下すると、体内の神経節に潜んでいたものが暴れ出し神経の流れに沿って皮膚へと移動をはじめ、帯状に痛みや発疹が出ます。
帯状疱疹の発症には、加齢が深く関わっていると言われています。日本人では、50代から発症率が高くなる傾向があり、60代、70代とその発症率はどんどん増加します。80代にまでには、日本人の約3人に1人が帯状疱疹を発症するとも言われているのです。しかし、若い人が全くかからないという訳ではなく、帯状疱疹になった患者のうち、およそ7割は50代以上の患者ですが、残りの3割の中には20代、30代の若い世代の患者も含まれています。
子供の頃に水ぼうそうにかかったことのない人でも、日本人のおよそ9割が帯状疱疹の原因となる水痘ウイルスをもっているとも言われていて誰でも帯状疱疹を発症してしまう可能性があります。ほとんどの人が一生に一度しかかからないと言われていますが、高齢者や免疫が著しく低下している人の中には再発する人もいるので、注意が必要です。
後遺症として頭痛や発熱、神経痛が残ることがあります。
帯状疱疹の治療が遅れたり、発症したのに治療を行わなかったりした時には、合併症として発熱や頭痛などの全身症状が現れることがあります。水痘・帯状疱疹ウイルスは、神経節から神経の流れに沿って障害を起こす特徴があります。そのため、目や耳などの感覚器の神経が傷ついてしまうと角膜炎などによる視力の低下や失明、難聴や耳鳴り、めまいなどの症状が現れます。また、運動神経が傷ついてしまうと自力で腕が上がらなくなってしまうほどの麻痺や尿が出なくなる排尿障害などの合併症の原因ともなってしまいます。
通常の場合、帯状疱疹の痛みは水ぶくれや赤い発疹が治るとともに軽くなっていきますが、皮膚の症状が治った後にも長時間痛みが続く後遺症が残ることがあります。この症状のことを帯状疱疹後神経痛(PHN)と言い、加齢とともに移行してしまうリスクが高くなります。50歳以上の患者のうち、およそ2割が移行するとの報告もあります。
帯状疱疹後神経痛(PHN)は、ウイルスが神経を傷つけることが原因で起きるので、帯状疱疹になったらできるだけ早い段階から治療を行うことが大切です。帯状疱疹後神経痛(PHN)は、ウイルスが増殖されたことによって引き起こされる帯状疱疹痛とは原因が異なります。そのため、症状を改善するための治療方も変わるため、水ぶくれや赤い発疹などの皮膚症状が治った後でも痛みが続く場合には、速やかに医師に相談して治療を受けましょう。