薬品知識

バルトレックスとゾビラックスの違い|違うのは服用回数、併用について

ゾビラックスとバルトレックスの違い

ゾビラックスとは?

ゾビラックスは、最も古くから用いられているヘルペス・帯状疱疹の薬です。日本では1985年に点滴静注用ゾビラックスが承認されて以降、錠剤や顆粒、外用薬など様々な形状で現在でも使用されています。

ゾビラックスの有効成分であるアシクロビルは、世界初の抗ウイルス薬としても知られています。人の細胞に悪影響を及ぼすことなく、ウイルスに対してのみ毒性を発揮できるようになった薬はアシクロビルが初だったのです。1977年にアシクロビルを発見したガートルード・エリオンは、その功績を称えられ、後にノーベル理学賞を受賞しています。

バルトレックスとゾビラックスの違いは服用回数

バルトレックスとゾビラックスの最も大きな違いは、1日の服用回数です。ヘルペスの治療において、ゾビラックスでは1日5回の服用を要するのに対して、バルトレックスでは1日2回で済むようになっています。

以下はゾビラックスの添付文書の記述より

単純疱疹:
通常、成人には1回アシクロビルとして200mgを1日5回経口投与する。

引用:ゾビラックス200 添付文書

一方、こちらはバルトレックスの添付文書の記述より

単純疱疹:
通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

引用:バルトレックス500 添付文書

服用は5日間続ける必要があるため、服用回数が5回から2回に減ることで、患者の服薬にかかる手間は大幅に軽減されています。

バルトレックスは吸収率を向上して作られたプロドラッグです。

バルトレックスが少ない服用回数でも効果を発揮するのは、バルトレックスがゾビラックスの「プロドラッグ」であるためです。プロドラッグとは、投与された後、体内で代謝を受けることで、薬効を発揮する物質に変化する薬のことです。代謝による分解が最小限におさえられるため、有効成分が効率的に吸収されます。

バルトレックスに配合されたバラシクロビルは、肝臓で代謝を受けると、ゾビラックスの有効成分であるアシクロビルに変化して抗ウイルス作用を発揮します。
アシクロビルが損なわれることなく薬効を発揮するため、1日2回の服用でも十分な治療効果が得られます。

治療効果はバルトレックスの方がやや優勢か?

バルトレックスには、ゾビラックスと同等もしくはより優れた治療効果が期待できます。以下は、単純疱疹(ヘルペス)の患者を対象にバラシクロビルとアシクロビルの有効性を比較した試験に関する記述です。

バラシクロビル1回500mg、1日2回又はアシクロビル1回200mg、1日5回を5日間投与した結果、有効性においてバラシクロビルの非劣性が検証されるとともに有意差が認められた

引用:バルトレックス 500 インタビューフォームより

つまり、治療の有効性においてバラシクロビル(バルトレックス)では、アシクロビル(ゾビラックス)に劣らないことが示されたのと同時に、臨床成績には2剤の治療効果の優劣を示す差が認められたということです。
実際に有効性にどれほどの差があったのかは記されていませんでしたが、バルトレックスには少ない服用回数ながらもゾビラックスと同等以上の治療効果があることが分かります。

ゾビラックスとバルトレックスは併用できるか

ゾビラックスとバルトレックスの内服錠同士の併用はできません。同じ作用のある2剤であるため、薬効が過度に増強されて副作用の発現リスクが高くなります。治療効果が高くなるわけでもありません。

外用薬であるゾビラックス軟膏の場合、バルトレックスとの併用が可能です。実際に性器ヘルペスや帯状疱疹の治療では外用薬と内服薬が同時に処方されることもよくあります。